2014 06月07日 |
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5月10日(土)に開催した研究会の各報告の要旨は以下の通りです。 【2014年度第1回研究会】 共催:「東アジアにおけるキリスト教の越境と交流」プロジェクト研究会、平成26-28年度科学研究費(学術研究助成基金助成金)挑戦的萌芽研究「日本のカトリック教会による移住・移動者支援の実証的研究」(研究代表者:白波瀬達也) 日時:2014年5月10日(土)14:00-18:00 場所:東洋大学 白山キャンパス2号館3階 第1会議室 (1)藤野陽平氏(東京外国語大学) 【発表タイトル】「台湾のキリスト教系日本語デイケアセンター玉蘭荘の展開――機関誌の分析から」 【発表要旨】 台北市内の日本語によるキリスト教系デイケアセンターの玉蘭荘を、機関誌『玉蘭』、『玉蘭荘だより』から考察した。本施設は戦後の混乱で台湾に暮らし続けざるを得なかった日本人妻や、日本語による教育を受け今なお日本語を使用する日本語族台湾人を主たる対象としている。 報告では①玉蘭荘の歴史の概観、②キリスト教主義とケア、③玉蘭荘という空間における日本と台湾について発表した。①は玉蘭荘の前身である「聖書と祈りの会」の時代からの歴史を確認し、②では玉蘭荘のケアはキリスト教主義と連続しており両者は分類不能である事、③では日本のような台湾のような空間性をゆるやかな日本空間として分析した。 結論部で機関誌に多数見出せる玉蘭荘をパラダイスとみなす言説を紹介し、国家や言語、アイデンティティ、地縁や血縁といったものを失ったという集合的記憶を有する玉蘭荘の参加者たちにとって①台湾②ゆるやかな「日本空間」③「日本語」によるケア⑤キリスト教的空間という複合的な社会空間の意味を論じた。 (2)モリカイネイ氏(立命館大学) 【発表タイトル】「華人キリスト者のトランスナショナリズム――モデル構築の試み」 【発表要旨】 本報告は執筆中の博士論文に基づき、世界中に分散している、中国に出自を持つ「華人」のなかのプロテスタント信者のことを取り上げ、彼らのネットワークの形成のダイナミズムを明らかにすることを目的とする。 具体的には、超宗派の華人系ミッション団体「中国信徒布道会」の活動を事例として紹介した。同会は1961年にアメリカで創設された代表的な華人系ミッション団体の一つであり、現在多国籍企業のように世界各地でオフィスを持ち、分散して暮らす華人キリスト者をつなぐための活発なミッション活動を展開している。本報告は、伝道用雑誌の発行や宣教師の派遣など多様な活動によって、異なる文脈に生きている華人キリスト者の間では従来の血縁、地縁、文化的伝統など要素に依存しない、宗教実践に基づく独自なネットワークが構築されていくと指摘した。報告の最後では、日本の首都圏の華人系教会の変遷を通じて、ローカルな信者コミュニティは如何にこのようなネットワークに関わっているのかを考察した。 PR |
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